かくれんぼ

いい季節だ。
何がいいかといえばもうあまり暑くなくまだ寒くなく、野宿でも快適。
自然の恵みが手に入るので、食べ物にありつくことができる。
だからといって 油断すると大変なことになるのも またこの時期なのだ。



「あ〜食った食った、幸せ〜」
「もう動けないだぁ」

ある森のなかで木の実など食べ放題した三人はご機嫌だった。Nシシは

「オラ眠たいだ…」

と、言いながら ごろりと寝転がっているZロリに寄り添ってきた。

「あぁ、せんせの背中は やわらかくって きィもちイイだね〜…」
「ぬぁにィ?!」

Zロリは がばと跳ね起きて、腰回りを触ってみた。ぷにぷに。 

「はぅッ!…こッ…これはいかんぞ!!いかんいかぁぁ〜ん!!」

このお肉をいますぐなんとかしなければ!そしてカッチョイイおれさまに戻るのだ!

「おまえたち!ゴロゴロしてないで立て!立つんだ○ョー!!」
「せんせぇ それはオラたちじゃないだ…」

「えぇい!ばっかもぉおん!!腹ごなしに運動だ!おれさまをつかまえてみろぉぉぉ〜!」

言うが早いか走り出すZロリの速さは尋常ではなく、当然双子は置いてきぼりである。

「こんな腹いっぱいのときにヒドイだ!」
「もともと足の速さに差がありすぎるだ!」

ハァハァブーブー言う双子を前に、Zロリは少し考えて、言った。

「じゃあな…かくれんぼにするか。じゃんけんぽーん!」

不意を突かれて双子は思わずグーを出してしまい、パーを出したZロリは またすぐ見えなくなってしまった。

「せんせ どこ行っただ〜」
「出てきてくだせぇ〜」
「ばっかもぉん!それでは かくれんぼにならないじゃないかぁ〜」

ああ。もう、さがすしかないようだ。







たとえ相手は双子でも、決して手を抜いてやったりはしない。Zロリはいつでも全力を出すのだ。
森の中を駆け回り、木に登ったり下りたり、草むらに伏せたり 穴にもぐったりしてみたが 
なかなか納得のいく隠れ場所が見つからない。
そうこうしているうちに、森を抜けて開けた所に出てしまった。


そして 目の前に広がる光景に、Zロリは歓声を上げた。

「こいつは…絶好の隠れ場所だぜ!」

すばやく服を脱ぎ捨てて、その中に身を投げた。




遠くに双子の声を聞きながら、じっと待っていると なんだか眠くなってくる。











気がつくと、目の前に一輪の紅いバラの花があった。
それは一面のひまわり畑の中で、ひときわ鮮やかに見えた。
バラの向こうでは 碧い瞳が微笑んでいる。

「Gオン」
「やあ。 また逢ったね。Zロリ」

ずっとZロリを探している双子は まだ現れないのに。

「こんなにひまわりが咲いているのに よくここにおれさまがいるってわかったな」

服も脱いだし、完全に保護色だと思っていたのに。

Gオンは いつものように鼻で ククッと笑った。

「たやすいことだ。 私は キミだけを見ている」




おわり




蛇足

せんせのお肌の色は何色だろうと考えて、色を検索したりしていました。
結果、たんぽぽ色ってのが最有力なのですが、季節をすぎてしまったし、
個人的にせんせのイメージは たんぽぽよりもひまわりかな…?
などと思っていた矢先、ひまわりの花言葉に萌えましたので
最後にGオンに言わせてみました。